2008年07月29日

明太子の「引き上げ」

あき乃家のホームページに、私の顔が掲載されています。
たまに見ると、やっぱ恥ずかしいですね…。
ホームページを作った業者さんが取材してくださり、
カッコいい紹介文もできあがりました。文章、とっても上手です!

その中でも書かれていますが、私は、明太子の「引き上げ」をすごく大事にしています。
もちろん、たらこの塩漬けや、つゆの調合も大事ですが、それは、レシピさえきちんと守れば、
私でなくてもできることなのですが、「引き上げ」だけは違います。
熟練した職人がやらないと、できない技術だと思っています。
自分で言うのもなんですが(笑)。

当店で仕入れているたらこは、かなり上質なものです。
どのたらこも、素晴らしい素材を持った「金の卵」です。
しかし、たらこ一つひとつは、それぞれ性格や体質が違っていて、
品行方正なたらこもいれば、デキの悪いたらこもいるのです。
品行方正な方は、すぐにつゆに浸かって、「できたよ~」とキラキラしています。
「よしよし。おりこうさん」「おぉ~、きれいやね~」と声をかけながら引き上げています。
ところが、デキの悪い方は、なかなか浸かってくれません。
素質は素晴らしいのに、わざとすねているのか(笑)。こっちには、
「もう少しね」とか「ちゃんと修行してきなさい」などと声をかけ、もう一度つゆに戻します。

「引き上げ」の作業は、主に私がやっているのですが、
昼間は業者との折衝、営業、管理などの仕事に追われているので、いつも夜中になります。
夜中、工場で一人、明太子相手にぶつぶつ独り言を言う48歳の男…。
ちょっと気味悪いですかね?(笑)

しかし!! 次に引き上げるとき、デキの悪かったたらこが、
驚くほど美しく変身しているのです。
品行方正なたらこよりも良い場合さえあります。
その瞬間、「よし!」とガッツポースをしたくなるくらい、嬉しいです(笑)。
明太子職人の醍醐味ですね。
私はきれいになった明太子に「ようがんばったな」と声をかけ、大事に引き上げるのです。

こういうと品行方正なたらこに悪いですが、
私は、デキの悪いたらこたちがかわいくて仕方ありません。
かくいう私が、デキのいい方ではなかったからでしょう。
たらこは、愛情をかければかけるほど、いい明太子になってくれます。
もしかしたら人間もそうなのかもしれません。

私は、「引き上げ」の作業が一番好きな仕事かもしれません。
あ、もう一つ、好きな仕事があります!
それは「接客」です。

今日は、もう長くなったので、次の機会にお話しますね。
それでは、また。



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